農業はその生産過程で自然の影響を直接的に受け易い。近年、栽培、防災技術の進歩により、生産の不安定さは克服されてきたが、それでも回避できない被害に対し、農家の経営を安定させ、農業生産力の発展に資するため、恒久的な農業災害対策として、農業災害補償制度が設けられています。
この制度は、農家が共済掛金を出し合って共同準備財産をつくっておき、災害があったときは、被災農家に共済金を支払うというもので、農家の自主的な相互扶助を基本にした制度であるとともに、国の災害対策としての公的救済制度でもあります。
また、次のような措置がとられています。
@ 組合は農作物共済、家畜共済について、共済事業を行わなければならないことになっています。 |
A 農作物共済においては、一定規模以上の農家の加入が強制されています。 |
B 農家が支払う共済掛金のうち多くの部分を国が負担しています。 |
C 事務費のうち多くの部分を国が負担しています。 |
D 政府は、農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済及び園芸施設共済について、再保険を行っています。 |
農業を取り巻く諸条件の変化に伴い、制度の役割は必ずしも一定不変ではありませんが、農業経営の安定 と農業生産力の発展に資することが、農業共済制度の基本的役割であり、目的でもあります。
不慮の事故や災害による損失の補てんが、一定の約束のもとに保証されるので、農業経営の計画化に役立つとともに、有効的な投資計画も設定できる。
損失補てんの裏付けにより、融資等に際して有利な立場が得られる。
国は、農業災害補償制度に対する財政支出を計画的に行うことにより、農業災害に伴う不時の支出増が軽減される結果となっている。これは、地方行政においても同様の効果をもたらしている。
農業の地域分化に伴い、地方行政における農政の確立が重要な課題となっている。このため、農業災害に対する有効な施策として、地域における本制度に対する認識が深まり、地方自治体による本制度への助成措置も広く行われている。
大災害による地域購買力の減少を緩和することにより、国民経済の安定に寄与している。
農業災害は、広い地域に及ぶことが多く、組合の区域だけでは完全な危険分散ができず、確実で十分な補償を行うことが難しい。そのため組合は、農業共済事業の共済責任の一部または全部を、都道府県段階の農業共済組合連合会が行う「保険」に付し、さらに連合会は、その責任の一部を、政府が行う「再保険」にかけることによって全国的な危険分散を図る仕組みとなっています。
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農家と組合を結ぶ重要な役割を担っていただいています。共済加入の取りまとめや通知、広報誌の配布などが主な仕事です。
災害が発生した場合、その損害について現地で適正に評価していただくことが任務です。
災害が発生した場合、損害を調査します。また、組合長から諮問された損害高を検討して答申します。
農家の代表です。組合の総代会を構成し、事業計画や予算など組合運営の重要事項について審議決定します。
理事さんは、組合運営の執行機関として重要な役割を担っています。3年ごとに総代会で選任されます。
監事さんは、組合業務の執行や財産の状況を監査・指導する役割を担っています。3年ごとに総代会で選任されます。
共済部長は、組合の事務協力機関です。農業共済組合は地域のほとんどすべての農家が組合員となって構成されています。その組合員さんに共済事業を円滑に伝達するために、共済規程により集落ごとに共済部長を置くこととしています。
共済部長は組合長が理事会の承認を得て委嘱します。
組合員資格を持っていて、積極的にお世話いただける人を集落より選出していただいています。仕事上、個人情報を取り扱う機会が多く、組合員さんから信頼の厚い人柄が望まれます。
共済部長の任期については、規定はありません。しかし、役員や総代、損害評価会委員の任期が3年になっていることを考えると、共済部長の任期も3年が望ましいと考えます。
また、事業の仕組みを十分に理解していただくには、短期間では困難といえます。
集落によっては、1年か2年で交代される例もありますが、できるだけ3年任期をお願いします。
共済部長は、主に次のような仕事をお願いしています。
農家が共済に加入する場合は、加入申込書が必要です。各事業の申込書の取りまとめをお願いしています。水稲共済の場合は、共済細目書異動申告書によります。(水稲実施計画書との一体化用紙を使用)
加入申込書(共済細目書)から算出された共済掛金の額や納めるべき期限が記入されており、期日までに余裕を持ち、確実に届けていただきます。
掛金納入告知書に記載された期日までに、組合に掛金(賦課金を含む)が納められるよう組合員へ伝達していただきます。現金納入であれば集金を、JA口座振替であれば振替承諾印の受領をお願いしています。
農作物やその他共済に加入されているものに損害が生じた場合、組合員は速やかに組合に報告する義務があります。これの徹底と水稲共済などのように、損害通知を組合員から受け取り組合に届けていただく場合もあります。
支払い共済金の額及び支払い方法、支払い期日などを記載した共済金支払通知を該当組合員へ配布していただきます。
建物共済加入証券などを該当組合員へ配布していただきます。
組合の発行する広報誌、および制度の普及やお知らせのための刊行物などを配布していただきます。
共済部長は、組合員と組合を結ぶ重要な役割をお願いしています。共済部長の協力なしには、共済組合の事業運営は不可能といっても過言ではありません。
それゆえ、できるだけ頻繁に組合の役職員と接して、事業や制度に関する知識を身につけていただき、組合員の期待に応えていただきたいと思います。
また、支給される手当や費用弁償の一部は国が負担していることからも、共済部長が国の行う農業共済事業において重要な立場であることを自覚して、誇りとしていただきたいと思います。
災害が発生した場合、共済目的の評価、損害の認定、損害の防止等に従事していただくため、地区ごと(水稲共済は集落単位)に損害評価員を置くよう共済規程で定めています。組合長が理事会の承認を得て任命します。
水稲共済の評価員は共済部長と兼務の集落もありますが、集落内の水田の所在を熟知し、水稲栽培のエキスパートを選出していただいています。
損害評価員は、主に次のような仕事をお願いしています。
農業共済事業は、その仕組みが保険であるため、農家は加入する共済目的が災害により損害を被ったとき、速やかに組合に災害の発生を通知する義務があります。これを受けて組合は損害評価を行いますが、その際評価や損害の認定、または現地調査の立会いをしていただきます。
災害を被った農作物などの共済目的が、災害発生時よりその被害が拡大しないよう、損害防止の指導をしていただいています。
災害発生時に組合員から受けた損害通知に基づき、組合管内を幾つかの区域に分け評価班を編成します。この最初の段階の損害評価を悉皆調査と言います。このときに中心となって評価に当たっていただきます。
農業災害補償制度における損害評価は、
(1) 共済金の決定の基礎となること。
(2) 評価の適否は農家の生産意欲に影響すること。
(3) 共済掛金率の算定基礎になること。
など直接制度運営上重大な影響を及ぼすほか、災害対策の樹立及び農業災害統計などの基礎資料となるので、損害評価の意義はきわめて大きいと言えます。
それゆえ、損害評価に当たっては経験を生かして確実かつ、適正公平に行うことが重要です。また、管内の耕地や作況、農家の諸事情を常に把握するよう心掛け、災害発生時には的確迅速にその任に当たっていただきます。